ミントグリーン~糖度0の初恋~
「……覚えてたの?」
ずっと驚きっぱなしで、やっと出せた声は掠れて呟きにしかならなかった。
「まあね」
それでも私の声はシンタくんに届いたようだ。
スープを口に運びながら事も無げに答える。
出会ってすぐの頃、お互いの誕生日を教えあった。
だから私もシンタくんの誕生日が4月3日だと覚えている。
だけど、離れた土地で過ごす私たちが同じ場所で誕生日を祝えるはずもなく、1度だってお互いにそれらしいことをしたことはない。
私なんて誕生日当日に「おめでとう」を言うのすら気恥ずかしくて、その前後に無理矢理用件をこしらえて
『そういえばもうすぐ誕生日だね。おめでとー』
とメールをするのが精一杯。
シンタくんからはそれすらもなかったから、当然忘れていると思ってた。
こんな素敵な形で祝ってもらえるなんて思ってもみなかった。
「おい。早く食えよ。
いつも言ってるだろ?
パスタは出来たてが命」
感激しすぎて呆けたままの私のおでこを向かいから小突いて、シンタくんが照れ臭そうに笑っていた。
「うん…。ありがと…」
私はそれだけを言うとあさりのパスタを口に運ぶ。
シンタくんの作ってくれた料理はいつも通り、いや、いつも以上に美味しかった。