ミントグリーン~糖度0の初恋~




「今日はお勉強しないの?」



アイスティーを持ってきてくれた女性が私にふわりと微笑みかける。


彼女は、この店のオーナー婦人のくららさん。


ここは、30代半ばくらいのオーナーとまだ20代の奥さんくららさんが2人で切り盛りしている。


下のフラワーショップはオーナーの透(トオル)さんが、カフェスペースはくららさんが取り仕切ってきちんと役割分担がされているみたいだ。


「そんなことないんだよー。

下が忙しい時は私が駆り出されることがしょっちゅうだもの。
その逆は絶対ないくせにね。

おかげでカフェメニューが増やせないんだよね。それがちょっと悩み。

あの人、ヤカンでお湯も沸かせないくらい何も出来ないんだよ。

今時珍しいくらい昭和の頑固オヤジって感じ」


なんてくららさんは溢していたけど、それほど不満を感じているように見えない。


カフェスペースのみの利用も可能だと聞いてから、私はここに頻繁に顔を出している。


今では透さんともくららさんともすっかり打ち解けていた。






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