ミントグリーン~糖度0の初恋~
それからは、目の前の景色をボンヤリ眺めながら他愛ない話を続けた。
「部活ってもう決まったの?」
「うん。陸上部。
さすがに種目までは決まってないけど、顧問の先生が中距離か長距離が向いてそうだって」
「すげーね。
俺、瞬発力にはそこそこ自信あるけど、持久走とかはまるでダメ」
「シンタさんは何やってたの?
部活」
「軟式テニス。
高校の時はキャプテンでした」
「そっちの方がすごいよ…」
何となく、敬語じゃない方がいい気がして、兄と話すときと同じようにしてみた。
シンタさんは、そんな私の小さな変化が嬉しそうで、満足げに笑いながら楽しそうだった。
私は、そんなシンタさんが見れるだけで嬉しくて、楽しかった。
時折、胸に小さな骨が引っ掛かったみたいな痛みが走ったけど、私にはまだその正体が掴めなかったので、シンタさんの横で一緒にニコニコと笑い続けていた。