愛結の隣に悠ちゃん

初めてのこと -友里亜の過去-



『ほんっと、友里亜ってさ男に媚売りすぎでしょ。女子から嫌われてるのいい加減わかりなさいよねー』

あまり話したことのない子達が女子トイレで集団になり陰口を叩いている。

陰口で言われるのは必ずこのこと。
小さいときから一緒に遊んでいたのは男の子で女の子の友達は誰一人もいなかった。

幼馴染みに学校で一番モテる男の子がいて、友里亜は特にこの子のことをなにも思っていなかったが、そばにいるだけで周りが許さなかった。

女子とはいっこうに仲良くなれず、中学生になり陰口は嫌がらせへと変わった。

嫌がらせというよりはいじめだ。

中学一年生のとき早い段階で嫌がらせを機に、高校受験は関西の学校にしようと決めた。

しかし、嫌がらせを知った母が今からでも関西へ行こうということで父は関東に残り母は友里亜一人なのは心配ということでついてきてくれることになった。

そして、転校し最初に話しかけてくれたのは男子生徒だったが、また陰口を叩かれると面倒だと思いその生徒のことは軽くあしらった。

日に日に男子にも女子にも声をかけてもらえず、友里亜は孤立した。

高校生になったらまた関東に戻るのかなあ……そんなことばかり考えていた。嫌すぎて離れた場所なのにどうしてそんなこと考えるんだろう、自分と友里亜は自分の考えに苦笑いをするしかなかった。

「わ、お前なにさっきから一人でコロコロ表情変えとんねん。きもいわ」

屋上で一人考えていたと言うのに、さらに上から声がして慌てて上を向く。

そこには、時計台に上っている同じクラスの財前 修がいた。

この男と出会ったことで未来が少しずつ変わることなんて友里亜にはまだ分かっていなかった。

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