愛結の隣に悠ちゃん


「あんたみたいなのがなんでクラスのカッコいい子に話しかけられんねん……ほんま好かん」

日菜とすれ違うとき、先程とは明らかに違う声と態度で言われれば目を大きく開いて口をぱくぱくと動かしてしまう。

しかし、誰も日菜の態度には気づいていない。




次の日から友里亜はクラスの中でより浮くようになった。

元々、クラスの人とは仲良くなかったが、少しの会話ならしていたが今では待ったくない。

少し肩がぶつかれば

「きゃっ……嫌やわあ、ぶつかったやんー」

などと、聞こえるように嫌みを言われる。
忍足や財前がいないときに限って。

女子らはクスクスと友里亜を見ながら廊下を去った。
財前と忍足は女子から人気が高い。
財前はチャラチャラしている上にどんな女の子にも優しいから。あと、八重歯が見える笑顔が素敵だとか。忍足は優等生だし優しいしたまに見せてくれる笑顔に惚れる女子も少なくないだとか。

とりあえず、気分が悪い。
以前までは男子となら仲良くなれていたけれど、ここでは男子と仲良くなることを避けていたためにクラスの男子にも少々嫌われぎみである。



友里亜の見方は誰一人としていなかった。




「おいこら、のけや。邪魔やねん」

また、財前が友里亜につっかかる。
今の友里亜には財前に立ち向かうほどの余裕は全くなかった。

「……」

無視をして立ち上がれば、いつもとは違う友里亜に財前が眉間にしわを寄せ、友里亜の肩を掴む。

友里亜の顔を見ただけで元気がないということを忍足と財前はすぐに察した。

「おい……なんか……あった」

「うるさい!話しかけないで!」

きっ、と友里亜が財前を睨み付ける。
財前はクラスで地位もあり信頼もある、そのような態度をとった嫌われものはクラスから視線を集めた。




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