愛結の隣に悠ちゃん


途中、泣き出してしまった。

しかし、それをも財前は受け止めてくれた。

「……正直、もう関わらないで……」

友里亜が財前に思いを告げる。
すると、財前は少し大きく目を開いて友里亜を見つめる。

「お前を泣かしたんは俺が原因や。女泣かしてそのままにするほど薄情ちゃうで、俺。落とし前はつけさせてもらうわ」

そう言えば財前は友里亜の手を握り立ち上がってクラスへ足を向けた。



「……修」

クラスが静まり返る。
同時に友里亜と財前に視線が集まり、二人が握りあってる手にも注目される。

「おい、聞いとけ。三次に要らんことしてええんは俺だけに決まっとるやろ、なにやらかしとんねん……日菜」

財前の鋭い睨む目付きが日菜に刺さる。
日菜は相変わらずにこりと笑っている。

「えぇ?なんのことぉ?」

とぼける日菜に苛立ちを隠せず舌打ちをする。

「なに三次に嫌がらせしてくれとんねん、他の女子もやぞ」

女子全員を睨み付けながら言う財前にびくりと怯える女子生徒達。

「待ってやっ……長年の付き合いしとる私らより転校生のちょっとしか一緒におらん三次さん信じるの……?」

日菜が不安そうに財前の表情を伺いながら尋ねる。

「……悪いけど、今回のはほんまのこと言っとるん三次みたいやしな」

日菜の問いかけに財前が迷わず答える。
日菜の目にはうっすらと涙が溜まっている。

日菜もクラスの人らと同じように財前に想いを寄せていた一人なのだ。

「嫌がらせやこれこらしてみぃ……許さんからな」

そう言えば繋いだままの友里亜の手をゆっくりと優しく離して友里亜が今まで見たことのない優しい表情をする。

「あと、俺お前に惚れとんねん。せやから、ここまでするんやで」

にこりと笑いながら友里亜の耳元で言う財前。
二人が惹かれ合うのもそう遠くないはなし。




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