愛結の隣に悠ちゃん


「さあ、どうする。……決断はいつでも構わない。友人が出来なければ前者、出来たなら後者で構わない」

だんだん鼓動が早くなる。
今にも息が詰まってしまいそうだ。

答えを出さないまま私は神社をあとにした。

「愛結っ……大丈夫……?」

愛結が帰ってくると、駆け寄ってきた悠人。
悠人はすぐに愛結がいつもと違う、階段を上る前と違う……何かがあったことを察した。

しかし、悠人から尋ねることはなかった。
愛結が自然と口を開いてくれるのを待っていた。

「っ……」

愛結も悠人に話すことができなかった。
愛結は悠人の記憶を消すのが嫌だったからだ。でも、悠人にこの事を話して悠人が自分との記憶を忘れてくれなんて言ったら……と、不安になることばから考えていた。

元々、悠人とのことについて願いを叶えてもらおうと神社巡りをしているのに……と、愛結のなかでの思考はそればかり。

「悠ちゃん……もしも、もしもね。愛結が悠ちゃんのこと……忘れちゃったらどうする?」

ふと愛結が尋ねた。

「……忘れてほしくなんてない。でも、忘れたとしても、愛結に何度でも会いに行くよ。何度でも愛結の名前を呼ぶ、俺の名前を言う……もし、記憶がなくなったとき大切な人が出来たなら……悔しいから……邪魔をしに行くよ。嫌われる覚悟でね」

にこりと笑いながら愛結に言う。
重たいと言える愛を聞き、愛結はもしもの時の恐怖がなくなった。

でも、自力で友達を作るもん……。




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