愛結の隣に悠ちゃん


「ったく……あのバカ神がっ」

四人のうちの島岬風涼が天に向かって叫ぶ。

「あらあら、これは奇遇だね……お・ば・さ・ん」

にこりと笑いながら言う神。
おばさんと言われればぷちんと体の中のなにかが切れる。

「なんじゃと……このクソガキっ……お前のような子どもが……年上に敬語を遣わんかっ!」

「おいおい……新富南邪(アライトミナンジャ)、奈良富爾(ナラトミナンジ)に喧嘩売るなよ……」

二人の間に入って注意をする島岬風涼。
しかし、新富南邪と奈良富爾の間に飛ぶ火花は相変わらずだ。

「……それにしても、なぜお前まで来たんだ。火鏡崎野」

「……知らん、こちらが問いたい。何故か体が反発的に」

顔を背けたまま答える火鏡崎野。

そんな火鏡崎野に顔を覗かせていつものような緩い表情を浮かべてみる愛結。

「ふふっ、ありがとっ。悠ちゃんが守ってくれたみたいで嬉しかったけど……悠ちゃんは……いないんだ、ね


苦笑いをして寂しそうな笑みを浮かべる。

その表情を見て、火鏡崎野が頭を抱えて膝を道路に立てて苦しそうにする。

「!?どうしたのっ!?」

「おいっ、火鏡崎野!」

島岬風涼が火鏡崎野の肩を揺すり慌てる。

さすがに今の状況では、新富南邪と奈良富爾の喧嘩が途絶える。

火鏡崎野を皆が囲んだとき、彼の意識はすぅっと消え、しばらくすると皆、元の神社のある場所へ帰った。



「あだだ……他人にワープさせられると頭がガンガンする……って、あれ……ここ、神社……だよな?」

皆が頭を片手で支えながら戻ってきたのは確かに元々神社のあった場所だが、目の前には神社はない。

どういうわけか、辺りいっぺん高層ビルや発達した交通機関のある都会と化していた。



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