【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
どうして、上手くいかないんだろう。
どうして、上手く伝わらないんだろう。
伝えたいことはたった一つだけなのに……。
私って本当にツイてないなぁ。
「うっ……拓磨く……っ」
「美憂ちゃん、今日はもう帰ろう。俺、送るからさ」
星司くんの言葉にうなずき、なんとか立ち上がり、私は星司くんと学校を出た。
「星司くん、ごめんね……」
「いいよ全然。それより、涙拭きなよ」
星司くんはハンカチを差し出して、笑顔で私を慰めてくれる。
あぁ、なんて優しい人なんだ……。
星司くんのことをずっと好きだったら、こんな思い、しなかったのかな……。
「送るって言っておいてなんだけど、ちょっと寄りたいところあるから寄ってもいいかな?」
「あ、うん。全然大丈夫だよ」
「ありがと」
星司くんは、ひと気の少ない通りに入っていく。
こんなところに、なにがあるんだろう。
なんかちょっと怖いな。