【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「はい、じゃあまた明日。元気に学校に来るように!」
帰りのHRが終わり、みんな担任の声で解散していく。
「じゃあな、美憂」
「うん、ばいばい」
私に手を振ったあと、拓磨くんは走って教室を出ていった。
拓磨くんの背中が見えなくなるまでボーっと見たあと、教科書類をカバンにつめる。
「美憂、ばいばい」
「美憂ちゃん、またね!」
葵ちゃんと多田くんに手を振りかえすと、2人は仲良く教室を出た。
幸せそうだな、2人とも。
私は今日、拓磨くんがいないから1人か……。
やっぱり寂しいな。
1人でトボトボと学校を出ると、なんだかものすごく孤独感を感じた。
隣に拓磨くんがいないだけで、こんなに穴がぽっかりあいたようになるなんて。
私にとって拓磨くんが隣にいることは、もう当たり前だったもんな……。
いつかこんな風に、拓磨くんがいなくなっちゃったりするのかな……って、そんなワケないよね。
拓磨くんはずっと私のそばにいてくれるって約束したもん。
さ、ヘンなこと考えてないでさっさと家に帰ろう。
私は家へ早歩きで帰った。