【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?





「はい、じゃあまた明日。元気に学校に来るように!」



帰りのHRが終わり、みんな担任の声で解散していく。



「じゃあな、美憂」



「うん、ばいばい」



私に手を振ったあと、拓磨くんは走って教室を出ていった。
拓磨くんの背中が見えなくなるまでボーっと見たあと、教科書類をカバンにつめる。



「美憂、ばいばい」



「美憂ちゃん、またね!」



葵ちゃんと多田くんに手を振りかえすと、2人は仲良く教室を出た。



幸せそうだな、2人とも。
私は今日、拓磨くんがいないから1人か……。
やっぱり寂しいな。



1人でトボトボと学校を出ると、なんだかものすごく孤独感を感じた。



隣に拓磨くんがいないだけで、こんなに穴がぽっかりあいたようになるなんて。
私にとって拓磨くんが隣にいることは、もう当たり前だったもんな……。



いつかこんな風に、拓磨くんがいなくなっちゃったりするのかな……って、そんなワケないよね。
拓磨くんはずっと私のそばにいてくれるって約束したもん。



さ、ヘンなこと考えてないでさっさと家に帰ろう。


私は家へ早歩きで帰った。
< 309 / 350 >

この作品をシェア

pagetop