涙がこぼれる季節(とき)【完】
「違うからっ。ウッチーって言ったら、サッカー選手の内田篤人でしょーが」


そんなの常識、と言わんばかりに、水沢は言い放った。


「はあ?」

「中村が聞いてるのは、そういうことじゃねぇんだよ」

「そこはせめて、野球選手にしろよ~」


口々にツッコミを入れられ、楽しそうに笑う、水沢。



その輪に加わることもできず、ただ黙って胸を撫で下ろすオレは。


この笑顔が誰かのものになってしまわないように、と心の中で強く願っていた。

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