涙がこぼれる季節(とき)【完】

告白

<水沢結衣>


私の思うのとは全然違っていたけど。


吉崎が私を「友達」と見ていてくれたことを知って、素直にうれしかった。




数日後、美桜ちゃんと悠斗に送ってもらっている時、


「ねえ、私、やっぱり、吉崎に送ってもらいたいんだけど」


自分でも調子がいいと思いながら、切り出した。


すると、悠斗はいったん立ち止まって、


「はあ? 何言ってんの? 

一緒に帰りたい帰りたくないって――オレはもう知らねぇからな。

あとは自分でなんとかしろ」


不機嫌そうに言い放った。


その口調は冷たくて、いつもの憎まれ口とは違っていた。


どうやら、私のワガママに、悠斗は本気で怒ってしまったらしい。

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