涙がこぼれる季節(とき)【完】
2人きりになると、オレたちは無言で歩いていた。


曲がり角――オレの家へは直進するのだが水沢の家へは右折する――で、水沢は立ち止まった。




「まだ明るいし……一緒に帰るの最後だから、今日は私が送ってあげる」




気のせいか、寂しそうな笑顔と。




水沢の口から出た「最後」が急に現実味を帯びて――。

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