涙がこぼれる季節(とき)【完】

ちょっとだけ、不満

翌日――月曜日。

放課後、昇降口へ行くと、約束どおり結衣が待っていてくれた。


しかも、一人で。


「悠斗たちは?」


テレくさくてなんとなく、出た言葉。


「いた方がよかった?」

「いや、そういう意味じゃないけど――」


慌てて弁解したものの、数秒後、いてほしかったと、内心思った。


少し前を歩いていた同級生――しゃべったことはない――3人が、時々オレたちを振り返って何か言っていたからだ。


さらに。

グランドの横を通ると後輩たちが挨拶をしてきたが、オレたちが2人だけだと気づいて不思議そうな表情になっていた。



この分だと、オレたちがつき合い始めたことはすぐに広まってしまうだろう。


引退もしたし隠す必要はないのだが、思ってもいなかった展開に、心の準備ができていないというか、なんというか。


――テレくさい。


この一言に尽きるのだ。

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