裏道万屋の事情
ちらっと嵐の方を見てみると嵐はずっとこっちを見てたらしく、視線がぶつかった。



ななな何でしょうかこの空気は……



「それでこの賭けはチャラね。」

『えっ…』



そして気づいたらあたしの視界は真っ暗になっていた。

ようやく頭が働き始め、今の状況に混乱するあたし。


何故かあたしは嵐に抱きしめられていた。

あたしより断然背の高い嵐の腕の中に、標準的な背のはずのあたしもすっぽりと納まってしまっている。








『…………。』


「…………。」








ど、ど、ど………





どーしろっての!!!!

この状況っっっ???!!!



「俺あいつには負けないから。」

『あ、いつ…??』

「幼馴染だからって、関係ないから。」

『それって…』



諒、のこと…だよね…??








そしてゆっくり嵐の腕から開放された。



「帰ろ。」

『え、あ…うん。』



ってか………

嵐って恋愛とか疎いんじゃなかったの??

何で??!!



「手。」

『手??』



何のことか考える間も無く、あたしの手は嵐に握られた。



…って、おいっ!!!!
本当にどうしちゃったのこの子????!!!!
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