誠を掲げる武士
「して、君は何故、そんな変な格好をしているのだ。」
豪快な笑顔から一変、急に深妙な趣に変わった男性の表情に、私はゴクリと生唾を飲み込む。
「それは──」
私は昨日起きた出来事をもう一度事細く説明し、自分の今置かれている状況が普通ではあり得ない事を伝えた。
そして、この不可思議な現象を、
「私は、タイムスリップをしたのだと思います。」
そう私がまとめると、
「「たいむすりっぷ…???」」
正面の男性と、後ろでずっと黙っていたイケメンとの声が合わさった。
「はい、えっと、時代を超えるというか。
私はこの時代から150年先の時代から、この文久3年の時代へと、移動してきたといいますか…。」
信じてもらえる訳がない話すぎる。
私だって信じられないし、信じたくもない。
でも、先程から太ももを強く捻っているが、ずっと痛いままで、これが夢とは断言できない。
目の前にいる男性は顎に手を当てて、うーん、と唸っているし、背後にいるイケメンの表情は読み取れないが、同じであろう。
「いやもう全然、意味がわからないので、信じられないのは当然です。」
…はぁ、もしタイムスリップだとしたとすると、帰り方でどうしたらいいんだろうか。
また死の瀬戸際に立てとかそういうのだったら、だいぶ困る。
「──いや、私は信じよう。」
悶々と考えていた私の耳に、低くて重みのある声が届いた。