もしも明日もあったなら。

バタンッ

屋上について早速口を開いたのは白石さんだった。

「…ねぇ!あんたなんなのよ!!!!!」

「え…」

白石さんがぐいぐい詰め寄ってくる。
多分、怒ってるのはゆかり達が上手くいってるからだろう。
だけど、でも、私には白石さんの言ってることの方がめちゃくちゃに聞こえるから従え、なんて言われてもそれこそ無理な話だ。

「ねぇ、私あんたに何言ったか覚えてる!?…ゆかり達の邪魔をしろ、って言ったんだけど」

急に声のトーンが下がった白石さんは怖かった。

「でも、ゆかりは私の親友だから、邪魔なんてできないよ…」

怯えながらも絞り出せた言葉はこれだった。
それが余計気に食わなかったらしい。

「あっそう」

とても冷たい視線で見下ろされる。

「いいよぉ、みよちゃんがその気なら。」

いつもの様な笑顔になり、そして


「覚えてて、ね」

語尾にハートがつきそうな猫なで声で取り巻きを連れた白石さんはこの場を去った。

白石さんがいなくなった瞬間緊張の糸がぷつり、と切れたようにその場に座り込んでしまった。

「こ、わかったぁ…」

あぁ、もう。
授業始まるのに足が震えちゃって使い物にならないなぁ。

ほんと、情けない。

「でも、ゆかりと隼人が上手くいって、良かった」

呑気にそんなことを思いながら壁によりかかり風にあたりながら、瞼を閉じた。

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