心の裏側と素肌の境界線を越える為に

口付けの意味

年末の忙しさも、大晦日になると落ち着いていた。

彼女に会ったのは、年が変わる1時間前だった。


二人が待ち合わせたのは、学校だった。

年末の学校は、冬休みの為、入れないかと思ったけど…正門に、鍵はかかっていなった。


中に忍び込んだ僕らは、一応…職員室から離れた場所にいた。

パーティーから会ってなかったし、二人きりで会うことも初めてだから、はにかんで照れ臭かった。

だけど、

学校内を歩いていると、昔に戻ったような気がしてきた。

麻衣は、真っ暗な校舎を見上げ、

「去年の今頃は…学校をやめてるなんて思わなかったよ」

麻衣は、校舎の空気を吸い込むように、深呼吸した。

二人きり…学校…すべてのシチュエーションが、僕の鼓動を激しくさせていた。

駄目だと思いながらも、僕は麻衣の唇にしか…目がいかない。

「何か…変わるのが、早いね。止まってほしいよね」

麻衣は、僕の視線に気付いていた。

ゆっくりと、僕に近づき、麻衣はあの時と同じように、首に手を回した。

そして、前より速くキスをすると、すぐに離れた。

抱き締めようとした僕よりも、彼女が離れる方が速かった。
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