心の裏側と素肌の境界線を越える為に
親は、片桐の体を心配していたが、

別に1人で生きるには支障はない。


ただ…この歳で、突き付けられた現実が、

これからの幸せを片桐から奪っていただけだ。


だから…。


同じクラスで、神谷を見た時…。

いえ、

神谷の目を見た時、


片桐は心の中で震えた…。

同じような苦しみを抱えている神谷の目に。


それは、痛みを知る者しかわからなかった。

それに、神谷は…どこか、翔太に似ていた。

ということは、自分にも。

見た目ではない。

性格だ。


なのに、強引に接近してきた神谷に、

片桐はさらなる悲しみを見た。

この人は、何か深い悲しみを振りほどく為に、

あたしに近づいたのだと…。
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