心の裏側と素肌の境界線を越える為に
「別れてよ」

口癖のようになっていた彼女の電話から、漏れる声。

最初は、寂しさの裏返しと思っていたから、

「いやだよ」

と軽くこたえていた。


そんなやり取りが、数ヶ月続いていたから、

いつか別れるんだろうな…と心の隅では思っていた。

別れてが口癖のカップルなんて、続く訳がない。


だけど、

その別れてが、

俺以外の男と付き合う為とわかっていたなら…、

いやという意味も違ってくる。


だけど…、

そんないやを一週間くらい言い続けた後、

俺は…

「いいよと言った…」
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