心の裏側と素肌の境界線を越える為に
「だから〜女ってやつは、全身で受け入れるから〜男より、愛情が深いんだって!」

何かの情報誌を持って、話し続ける小林正利に、俺は軽くそっぽを向きながら、机に頬杖をついていた。

(つまり…男の愛情は、薄いと言うのかよ)

心の中で、毒づいた俺の脳裏に、別れた彼女の顔が浮かぶ。

思わず、顔をしかめた俺を訝しげに、正利は見た。

「きいているのか?太一」

正利の質問に答えない俺に、正利は肩をすくめた。

「いいか〜!これは、重要なんだぞ!いつか、俺達に彼女ができてだな〜。その時が来る〜」

うだうだ話だした正利の話を、俺はもうきいてなかった。

比較的学校ではおとなしく…女の子にも、昔よく間違えられた俺は…奥手で、未だに童貞だと思われていた。
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