心の裏側と素肌の境界線を越える為に

どうして…

別に、目立った存在でもない僕…伊藤翔太にとって、

日常は、あまり変化がなかった。。

ただいつも集まる仲間は多くて、12人もいた。

そんなにいると、全員と無茶苦茶仲が良いとは、考えられなかった。

12人でいると、一番端にいるのが多い僕と違い……いつも、中心にいたのが、彼女だった。

片桐麻衣。

大きな瞳に、さらっとしたストレートの髪が、印象的だったが、

それより、心に焼き付けているのは、笑顔と笑い声だった。

明るい屈託のない笑顔が、好きだった。


そんな彼女がいきなり、学校をやめることを、告げた。

結婚する為だった。

所謂、できちゃった結婚。

そんなことをするようなイメージではなかったが、

できちゃったことより…16歳で結婚できる。

男と違い…女ができることに驚いた。



その話は、夏前に聞いた。


そして、夏休みが終わると、

麻衣は学校をやめていた。

彼女は、堕ろすことより、産むことを選んだのだ。
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