初恋 二度目の恋…最後の恋
 小林さんが甘いものが好き。


 そんなことないですよと言いたいところだけど、妙に納得してしまう私がいる。この前に一緒に食べた豚肉の生姜焼きもちょっと甘めの味付けだったから…。でも、ケーキのホールっていうのはさすがに言い過ぎだろう。


「小林さんは甘党なんですね。でも、本当に今日はデザートはいいです」


「そう。じゃ、欲しくなったらいつでも言って」


「はい」

 
 運ばれてきたお料理は全部綺麗で女の子が喜びそうな盛り付けでテンションが上がる。カルボナーラのこってりとしたソースにベーコンとアスパラガスが美味しそうに色を添えている。卵黄がぷっくりとしていて…。

 かなり美味しそう。


「じゃ、食べようか」


「はい」


 高見主任はペペロンチーノを上品にフォークに絡めて口に運ぶ。ランチなのにどこかのレストランで食事をしているような雰囲気になるのは何故だろう。そんなことを思いながら、カルボナーラの上に乗っている卵黄にフォークを入れたのだった。


「そういえば坂上さんは大学からずっと研究をしているんだよね。やっぱり本とが好きなの?」

「は、はい」


 さっきのような難しい話をしながらの食事だと思っていたが、そうではなかった。話す内容は本のことだったり、音楽のことだったり…。極々どこにでもいそうな男の人。映画が好きで暇な時は一人でも見に行くことがあるほどらしい。


「坂上さんの趣味は?」
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