Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~

武志が2階で眠っていた澪を呼びにいき、私は居間で一緒に雑魚寝していた純也と小百合を起こす。


全員が揃うと、いつの間に作ったのか紫音先輩がおにぎりをテーブルに広げた。
たぶん昨日のうちにお米を炊いて、早起きして作ったのだろう。
いろいろと気がつく先輩には、つくづく頭が下がる思いだ。


「救助のヘリコプター!?」

「うそっ! やったー!」

「ヘリゴ──ゴハッ! ゲホゲホッ」


あの騒音でも起きなかった3人にヘリの話をすると、澪と小百合は表情が明るくなり、純也はおにぎりを喉に詰まらせていた。


「ちょっと純也、なにやってるのよ。はい、これ飲んで」


水を渡すと、一気に飲み干して「ぷは~っ」と大きく息を吐く。
風呂上がりのビールを飲むお父さんみたいだ。


「おお、助かった──ん? 何見てんだ。あおいもちゃんと食っとけよ。次いつ食えるか分かんねえぞ」


言いながら、テーブル上のおにぎりを一つ手渡してくる。


純也も昨日までと同じ、特別変わった様子はない。


好きな人なんて聞いてしまったから変に意識してたけど、これならいつも通りギクシャクしないで済みそうだ。


お腹はすいてなかったけど、純也の言う通りだから私もおにぎりを胃に流し込む。


「準備して、15分後に庭に集合しよう」


武志の言葉に、全員異論はあるはずもなく、行き先は浦高橋から陸上競技場に変更になった。


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