私を惚れさせて。私の虜になって。
本気ですか。
「戻してもらってきた!」

なんとなく嬉しそうに言う。

「そう」

「んだ。素っ気ねーじゃん」

「そう?」

なんとなく納得できない顔でさっきの椅子に座った。

「どーしたの、最近」

「やー…親がさぁ、芝原止めって言うからさぁ」

「…そうなの?」

「あぁ、公立とか言い出して」

思い出しただけで腹がたつ、とまた壁を蹴った。

「落ち着いて」

苦笑いでいう。

「でも、受けることは受ける」

「公立も、受けるの?」

「あぁ。芝原受かって、ほか全部落ちてやればいいんだよ」

…なんて適当な。

「じゃあ、芝原めっちゃ頑張んなきゃね!」

「おう」

松木は意外にあっさりしていた。

まーくんの無力さに内心笑いながら、

「まーくんにきつく当たらないで?あいつ女の子みたいにか弱いからすぐ泣きそうになる」

「あいつはチキンだから」

「そうそう。マズいけどね」

そう言った後、

「あ、そーだ。まー!かもん!」

松木は大声でまーくんに話しかける。

いかにも嬉しそうなまーくんが、私の隣に座った。



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