私を惚れさせて。私の虜になって。
「何にも食わねぇで、俺の小遣いにするとかそういう考えはない?」

ゲスい。

「ない。どっか行くぞ。そんで最大限使う」

「ひっでー」

「どこ行きたい?」

私のことなんか、気にしなくていいのに。

「どこでも」

「どこでもって困るよー?菅原決めろし」

そんなこと言われても。

そもそも、食べたくたってないのに。

「じゃあ、ぶらぶら回ろーぜ」

何となく松木が歩き出した方向に、歩き出した。


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