私を惚れさせて。私の虜になって。
「わかった。私も考えとく。だから、菅原さんもね?」

「…はーい」

嫌になって、適当に返事をして自習室に帰る。

「何聞かれてたの?」

松木は一目散に私に聞く。

「高校」

「へー。まだ決まんないんだ」

「そう。松木は芝原だっけ?」

「おう!すがちゃんも来る?」

冗談がみえみえの笑顔で言う。

「遠慮しとくよ」

私立は、行かないから。

「俺は付属冨山だぞ!良かったら菅原も!」

「そこ、男子校やん。私こう見えても女ね」

つか、みんな、私立なんだ。

私ぐらいなのかなぁやっぱ。

だけど。

“私”は、しょうがない。
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