私を惚れさせて。私の虜になって。
規則的に頭を撫でてくれる。


「…分かった?」


「…わかった」


なんだか、私、こんなんで。


あれだけ、別れようって決めてたのに。


たかが、これだけで気が変わっちゃうなんて。


「じゃあ、すがちゃん」


「ん」


「また、付き合うか」


「…もちのろんだぜ」


「勇ましいな」


「でしょ?」


松木の力が一層強まって。


少ししたら、勢いよく離れた。


「頭、痛くなかったか?」


「そーでもない」


「ごめん」

撫で付けられても、そんなのとっくに消えてるよ。


「ううん」


「ん!じゃあ風呂入ってこい!」


パンと背中を叩かれて、


「こっちのが痛いわ」


「ごめんごめん」


笑えるのは、いつまでかなぁ。


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