キミを独り占めしたい。

私の返事も待たずに圭介はさっさと自分の教室に戻っていった。

「ったく…」

「相変わらずね、彼。」


後ろからクスリと笑う声に振り向くと、良子が立っていた。

「ほんっと、猿みたい。」

「猿、たしかに…」

彼女の例えに思わず頷く。

「まぁそんな猿を好きな夏菜も仲間かしら?」

「…っ」

良子の意地悪な言葉に顔が熱くなるのを感じた。

すぐさま周りを見渡す。

幸い周りはそれぞれの話に夢中だった。

「ちょっ、教室で言わないでよ!」

わざと睨め付けるように言うと、ああ〜怖い怖い、とからかうように良子が肩をすくめた。
< 5 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop