眠れぬ夜に
揺れている
中学生になると
私は俗に言う不良になっていた

と言っても
地元で名の通った有名人
とは程遠い
名も無きチンピラAと言った程度

喧嘩や暴走行為などよりも
バンド活動に勤しむ
モテたくてワルぶってる
の典型だった

幸い、バンド活動を通じ仲間も増え
番長グループの末席に加えてもらえ
自由は約束されていた

そんな輝ける中学時代も終わりが近づいたある日
栄光の番長に声をかけられた

『今日お前の家に泊まりに行くから』

自宅の倉庫を改造し
バンドの練習場所として使っていた私の部屋は
母屋からも離れており
仲間達の溜まり場となっていた

バンド仲間は日常的に泊まりに来ていたが
番長が泊まるのはその時が初めてだった

校内での自由は約束されていたが
番長の言葉は絶対である
断る事などできない

『わかった』

『じゃぁ一回帰って夜に行くわ』

『食い物と飲み物は買って来たほうがいいよ』

『おう、じゃ後でな』

逆らえないとは言え
服従関係とまではいかなかったため
フランクに会話する間柄ではあった

夜になり
約束通り番長がやってきた

他にもバンド仲間が二人
私を含めて四人でのお泊り会となった

卒業を間近に控えていたこともあり
自然と思い出話に花が咲く

深夜まで語らいながら
ゲームなどをして夜を謳歌した

ふと、番長が前触れもなく言った
『怖い話しろよ』

『いいけど…寝られなくなっても知らんよ?』

『なるか!いいから話せ』

『じゃぁ…』
私は話し始める

今まさに私達がいる
この場所に纏わる話を…
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