【続】裏アリ男子にご注意ください!
「この赤いやつください!」
梨花は直樹を置いてたったと屋台の前に行く。
「はい、どうぞ」
屋台のお姉さんが差しだしてくれた赤い色のりんごあめの代金を払い、直樹のいたところに戻る。
……けど。
「あれ?」
いない。
直樹が……いない。
「ねえ、直樹ー?」
そう呼びかけながら近くをぐるぐる回るけど、返事はない。
右も左も人ばっかり。
こんな人ごみの中だし……もしかしてはぐれちゃった?
「……どうしよう」
梨花、スマホ持ってない。直樹が梨花の荷物をずっともっててくれてたから、今の梨花がもってるのはお財布とりんごあめだけ。
人ごみの中でひとりなんて不安だけど、しょうがない。
梨花は直樹に向かって呼びかけながら近くを捜した。
でも……いない。
かれこれ数十分も直樹を捜した。そんな時だった。
「ねえ」