僕と三課と冷徹な天使

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総務一課と総務二課は同じ部屋にあって
三課とは少し離れた所にある。

緊張していたので足早になったのだろうか
すぐに着いてしまった。

総務部、と書かれたドアは開いていた。

「失礼します・・・」

声をかけて中に入る。

誰かが部屋に入ってきても
微動だにしない三課のメンバーと違って
ほとんどの人が僕を見た。

スモールライトをあてられて
自分が小さくなった気がする。

「お疲れ様です」

松井課長が来てくれた。

「お忙しいところ、申し訳ありません」

相変わらず丁寧だ。

宮崎部長も

「灰田君、来てくれてありがとうな」

と声をかけてくれる。

部長、食堂では邪魔だなんて
思ってしまってすみません。

二人に声をかけてもらって、
僕はもとの大きさに戻れた気がした。

「実は、備品を
 間違って発注してしまって
 倉庫に運ばないといけないんです。
 力仕事で申し訳なんですが、
 よろしくお願いします」

僕なんか相手に
丁寧に説明してくれる松井課長。

宮崎部長は軍手を持ってきてくれた。

「運動不足解消だな。さてやるか」

と言って部長自ら
ダンボールを運び始める。

松井課長も上着を脱いで軍手をはめている。

本当に一課は男手が足りないんだな・・・

「吉田さんとか、呼びましょうか?」

僕も上着を脱ぎながら
言ってみるが

「あいつら文句ばっかりで
 動かないからいいわ。」

と部長が笑って答える。

その姿は容易に想像ができた。

そして気づいたら、いなくなってそう。

部長も松井課長も休みなく運ぶので
非力な僕も一生懸命手伝った。

黙々と三人で
備品が入ったダンボールを運び続ける。

そのせいか、思ったよりもはやく
全部運び終わった。

「おつかれさーん。
 灰田君、助かったわ~」

痛いのだろうか、腰を押さえながら
部長が言う。

「あまり運べなくてすみません」

日ごろの運動不足がたたって、
すでに腕が痛くてだるい。

体力つけないとなあ・・・

「そんなことないですよ。
 本当に助かりました」

軍手を外しながら
松井課長がねぎらってくれる。

「これ、三課の皆さんで食べてください」

と高級そうに包まれたお菓子を
僕に渡した。

コオさん喜びそう。

「ありがとうございます」

かわりに軍手を渡して、僕は一課を出た。

汗をかいたおかげだろうか、
新歓のことはすっかり忘れて
爽やかな気持ちだった。

はやくこのお菓子をコオさんに渡して
笑顔を見たい、と三課に急いだ。
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