鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 ふぅ~・・・・・・さっぱりしたぁ。


 肩までしかない髪をタオルで丁寧に拭きながら、居間へと入る。


 するとそこには、昨日アンゼリカさんにもらったペンタグラムを見つめているお父さんがいた。



「おはよ、お父さん」



「あぁ、りんか。 おはよう」



「それ、どうなの?」



 お父さんが座っている席の真向かいに座る。


 ペンタグラムは、妖しく黒光りしていた。


 なんか、不思議な感じのペンタグラム・・・・・・。


 まあ、女神の欠片なんだし、当たり前か・・・・・・。



「んー、試したことがないし、女神がいないと試しようがない。


 だから、効力がどうなのかはわからないな・・・・・・」



「そっか・・・・・・そういえば、お父さん」



「なんだ?」



 ようやくお父さんはペンタグラムから視線をこちらに移した。



「その、女神の生まれ変わりと『影の存在』って、同一人物だと思う?」



「・・・・・・どうだろうな、でも、可能性はある」



 さすがに確定!というワケじゃないんだ。


 「ふぅん」と曖昧な返事を返し、あたしは机に突っ伏した。


 別のことを考え始めていたからだ。


 絖覇、今なにしてるかなぁ・・・・・・。


 バカみたいに、あのときから時間があればあたしは絖覇のことばかり考えてる。


 あのキスのことしか、考えられなくなってる。


 また、あの熱と感触が、この唇に残ってるの・・・・・・。





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