鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 彼がいなくなった途端、ふにゃりとへたり込んでしまった。



「りんりん!」



 慌てたナトが、支えてくれる。


 
「りん姉ちゃん・・・・・・」



「あの人、本当にこう兄ちゃんなの・・・・・・?」



 伯が倒した魔物を浄化してくれた曾爾と曾於が、あたしの服を掴む。


 その瞳が、不安げに揺らめいた。


 
「うん。 そうだよ」



 ウソは、言ってはいけない。


 真実を隠せば、さらに大変なことになる気がした。



「・・・・・・ッ!」



 それでも、信じたくないのか、双子はぶんぶんと頭を左右に振った。

 
 しょうがない。


 急にあんなことが起きたら。


 あたしだって、驚いてる。


 気を許せば、涙が溢れてしまいそうなくらい。



< 264 / 445 >

この作品をシェア

pagetop