鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 ようやく視界がはっきりすると、目の前には涙を浮かべたりんが、俺にキスしていた。


 なんでりんが・・・・・・。


 すると、唇は離されて・・・・・・りんの身体の力がカクッと抜けて、抱え込むようにして支えた。



「絖覇・・・・・・?


 わかる? あたしだよ、りんだよ・・・・・・」



「りん・・・・・・俺は、何して、たんだ・・・・・・?」



 彼女の身体を立たせると、もう倒れないように支えた。


 けれど、なぜか両手は手錠によって拘束されていて・・・・・・。


 ようやく、俺は確保されたんだと気づいた。


 りんは、俺の前の高い椅子に座っている年老いた男に話しかけた。



「見て、わかったでしょう!?


 絖覇の意思じゃなかったの。


 魔物と話していたのも、操っていたのも・・・・・・。


 全て、女神によって支配されていたから・・・・・・。


 だから、絖覇に罪はないわ!!


 絖覇は絖覇よ!!!」



 今まで見たことのないような迫力で、りんは男に怒鳴り付けた。


 さぁ・・・・・・と、心の中の靄が晴れた気がした。


 お前は、こんな俺でも、わかってくれているのか・・・・・・?


 こんな、俺でも・・・・・・。



 つぅ・・・・・・と、一つの雫が、頬を伝って落ちて行った。




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