鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 


「わたくしはまだ、意見を申しておりませんわ」



 あ、とりんが声を出す。


 さっきりんが遮っちまったからな。


 アンゼリカさんがそういうと、裁判長はたちまち安心した顔になり、そしてすぐに落ち着いた顔になった。




「それでは、判決をお願い致します」



「わたくしは絖覇を──解放しますわ」




──ザワッ。



 途端に、裁判所のなかは騒然となった。


 まさか、俺を解放すると言うには夢にも思わなかったのだろう。


 口々になにかを言い合っている。



「静粛に!!」



 アンゼリカさんの、凛とした声でまたもや裁判は静まり返る。



「彼女の・・・・・・りんの言う通り、絖覇は悪くないわ。


 彼は、彼だから。


 それに、女神は追い出せばいいだけという意見には賛成よ。


 だって見てご覧なさい。


 彼の中の女神の力はほとんど消滅しているわ。


 それも、『真実の愛の力』のおかげね♪」



 アンゼリカさん・・・・・・最後の言葉、音符ついてた気がする。


 それに、消滅してるって・・・・・・?


 真実の愛の力のおかげ・・・・・・?


 ふと、下を見れば、りんは顔を真っ赤に染めている。


 え・・・・・・?


 もしや・・・・・・?




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