鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






 ウソだと思った。


 ウソであってほしかった。


 ずっと、共に戦ってきたムギが。


 お母さんが眠りつづけている理由に関わっていたなんて。


 お母さんが眠りつづけている理由が知れてうれしい。


 でも、それがムギのせいだなんて、考えたくもない。


 いろいろな気持ちが入り混じって言葉にならない。


 お母さんを一刻も早く助けたいけど・・・・・・。


 ムギを、軽蔑したくない・・・・・・。



「ムギ・・・・・・」



 彼女を見上げると・・・・・・彼女の顔は真っ白だった。



「・・・・・・ムギ?」



「ゴメンなさい。


 もう、私・・・・・・」



 彼女はサッと立ち上がる。


 っ・・・・・・!


 ダメ・・・・・・!



「私のせい、だったんだね。


 だったら、私は・・・・・・すずかの側にいてはいけない存在なの・・・・・・!」



「ムギッ! ダメッッ!!」



 伸ばした手は、宙を切って・・・・・・。



──ブゥン。



 
「ウソ・・・・・・」



 彼女はそこから消えていた。




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