鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「愛してる・・・・・・」
彰さんは、そう呟いた。
風に流されてしまいそうなほど、弱々しい声だったけれど、あたしの耳にはちゃんと届いていた。
お願い、ムギ、わかって・・・・・・。
どれだけ、自分が愛されているのか。
必要とされていたのか。
自分はいらない存在なんかじゃないと。
必ず、誰かが自分を必要としてくれている。
それだけで、前へと進もうと思えるんだ。
「しょう・・・・・・」
ムギは、ぎこちなく、腕を彰さんの背中に回した。
その目には、涙が浮かんでいる。
もちろん、紅かった瞳は、もとの豊かに実った小麦色に戻っていた。