鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




「ムリ、すんなよ。


 俺を頼れ。


 悩みでもなんでも聞くから。


 りんの話なら」



 絖覇の手の平はあたしの頭を何度も撫でる。


 優しく、優しく・・・・・・。


 その仕種に、思わず涙が溢れそうになってしまった。


 泣いちゃダメだよ。


 しかも絖覇の前でなんて、笑われちゃう。


 それに、そんなに優しくしないで・・・・・・。


 思わず頼りたくなっちゃうよ・・・・・・。



「・・・・・・・・・・・・っ」



 何も言わないあたしの傍で絖覇はずっと、静かにしていた。


 今なら、絖覇なら、話せると思った。



「・・・・・・あのね、絖覇──」



──ガチャリ。


 再び部屋のドアが開く。


 あたし達の視線の先には、お父さんがいた。



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