鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 ユラユラと、景色が揺れている。


 ここは・・・・・・森の中?


 青々と茂った木々たちが、風に煽られサラサラと乾いた音を奏でている。


 遠くの方で、陽炎が燃えていた。


 そして、その奥に茅葺き屋根の家がポツリポツリと並んでいる。



 ──ああ、ここは過去なんだ。


 あたしたちは、過去にたどり着いた。


 

 直感でそう、思った。







「ん・・・・・・りん、りん、聞こえてるか?」



 この声は・・・・・・絖覇?


 目を開けると、ぼんやりと霞んだ輪郭が徐々にはっきりとしてくる。


 絖覇が、あたしを覗き込んでいた。



「う・・・・・・ん・・・・・・」



「よかった、もう着いたぜ」



 絖覇が顔を上げると、光が視界を遮って、慌てて目を閉じた。


 眩しい!


 それに気づいてくれた絖覇が再び、影を作ってくれて恐る恐る目を開いた。


 あ、ここ集落なんだ。


 目の前に広がるのは、少し小さめの集落。


 山に囲まれていて、一つだけ大きな屋敷がある。


 もしかして、ここが前世のお母さんたちが住んでた村?


 そして、あの大きな屋敷は・・・・・・。


 お母さんの屋敷だ!

 
 お母さんは、お姫様だったんだ。





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