この恋、永遠に。
「もとみ…しゅ、柊二さん、いったい何処へ?」
 予約したイタリアンのレストランへ向かう途中、車が高速に乗ったからか美緒がそわそわし始めた。
 名前を呼ぶことにまだ慣れていないのだろう。躊躇いがちに訂正して、俺の名前を言い直す彼女は、初々しくて可愛い。
 俺は安心させたくて、一瞬ちらりと美緒に視線を走らせると微笑んだ。

「海沿いに知人がやっているレストランがあるんだ。イタリアンだけど、大丈夫?」

「あ、はい。好きです」

「それと、食事が終わったら買い物にも行きたいんだが、美緒の予定は?空いている?」

「はい、空いてます。何を買うんですか?」

 小首を傾げて微笑んでいる彼女は、俺の買い物だと思っているらしい。「手伝いますよ」と言って笑った。

 美緒にはまだ言っていないが、俺は彼女のパーティー用ドレスを買うつもりだ。昨夜、双子の姉に誕生日パーティーに誘われたとき、正装でと言っていたのを思い出す。
 美緒も毎年参加しているということだから、当然知っているのだろうが、彼女だって昨年と同じドレスで出席したいとは思わないだろう。
 もし、美緒が既にドレスを用意していたとしても、それならそれで構わない。ドレスを着る機会は他にもある。

「何だろうね」

 俺は答えをはぐらかしたまま車を走らせた。
 こんな休日もいいかもしれない。
 美緒と過ごす今を、穏やかに流れるこの時を、俺は間違いなく楽しんでいた。

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