この恋、永遠に。
「美緒」

 次の瞬間、私は彼の腕の中にいた。真冬の空気で冷やされた彼のコートが私の腫れた瞼を冷やす。それが次第に温かくなり、私は彼の腕の中で彼の温もりを感じた。

「…泣いていたの?」

「……やっ…」

 背中に回っていた柊二さんの腕が緩み、両手で頬を包まれる。少し顔を持ち上げられ瞳を覗き込まれると、私は反射的に顔を逸らした。こんなひどい顔を見られたくはない。化粧は落ちて、瞼はぱんぱんに腫れているのだ。

「中に入っても?」

「あ、はい…」

 柊二さんがドアを閉め、鍵も閉める。自分の部屋なのに、私は彼に手を引かれ気づけばベッドに彼と並んで腰を降ろしていた。

「あの…狭くてごめんなさい」

 彼の広い自宅マンションを思い出し、私は急に自分の部屋が恥ずかしくなった。玄関から全ての部屋が見渡せてしまうこのアパートは老朽化が進み、とにかく古くて狭いのだ。
 今まで玄関前まで送ってもらったことは何度もあるが、部屋の中へ入ってもらったのはこれが初めてである。
 彼は部屋の中をぐるりと見渡した。

「美緒らしい、綺麗に片付いているし、可愛い部屋だね。それに何だかいい匂いがする」

 おそらく本当にそう思って言ってくれたのだろう。お世辞には聞こえなかった。
 確かに古くて狭いけれど、私にとっては自分の城だ。居心地よく過ごしたいから整理整頓は欠かさず、お気に入りの家具と雑貨で揃えている。

「この部屋には誰が来るの?」

「え?」

 私は瞼が腫れているのも忘れて彼を見上げた。彼の漆黒の瞳が揺れている。何を言っているの?

「美緒の友達の……例えば双子の晃くんとか、営業の高科、とか……」

 彼がふい、と視線を逸らした。もしかして、嫉妬してくれている?私は嬉しく思うと同時に慌てた。この部屋に上がってもらった男の人は、柊二さんが初めてだ。

「あ、あの、誤解です。高科さんとは一度食事に行っただけで、何でもないですし、晃くんとは確かに長い付き合いですけど、この部屋に上がってもらったことは一度も……」

「高科と食事?いつ?」

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