俺様社長と秘密の契約
「…俺、あの子、好きかも」
「・・・は?」

突然の告白に、友人は面食らった顔をした。

「…龍介、本気か?」
「…俺は何時でも本気でしか物言わないよ」

「切って捨てられるのがオチだぞ」
「…そんなのやってみないと分かんないだろ?」

そう言って微笑むと、友人は、呆れ顔だった。

・・・その日から、俺は清水理子について、ありとあらゆる情報を手に入れた。

性格。行動パターン。好きなもの。嫌いなもの。

何をされるのが好きで、何をされるのが嫌いなのか。

…最終的には、彼女の生い立ちまで。

…どんどんわかっていく。理子を知っていくうちに、どんどん魅かれている自分が手に取るようにわかった。

・・・でもどんなに調べても、曖昧な事しかわからない事があった。

彼女の出生場所。・・・彼女の親戚。・・・彼女の母親の旧姓。

今になって思えば、神宮寺善一郎が、理子を守る為に、手を下していたんだろう。

…理子ですら知らない、神宮寺財閥との繋がりを、他人に知られるわけにはいかなかった。


理子が、神宮寺財閥の会長の孫だと言う事が知られれば、今の静かな生活は、理子から奪われてしまう。


善一郎はきっと、理子に、大変な思いをさせたくないと、切に願っていたのかもしれない。


「…落ちましたよ」
「・・・え?」



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