俺様社長と秘密の契約
その言葉には、流石の龍吾さんも、顔をしかめた。

「…理子は、私の妻です。はいそうですか、なんて、言えるとお思いですか?」

「そんな事はもちろん承知してます。妻として欲しいと言ってるんではありません。私のパートナーとして、欲しいと言ってるんです」

…しばらくの沈黙の後、溜息をついた龍吾さんが口を開いた。

「…誰かの差金ですか?」
「…なんの事でしょう?」

その問いにも笑顔を崩さない創。

「…神宮寺前社長を、ご存知ですか?」
「…もちろん知ってますよ。ライバル会社の社長ですからね。…まぁ
あの人に何か言われたといえば言われたかな」

…神宮寺前社長が、ライバル会社の男に頼むなんて。

「…でも、あの人の言葉なんて、耳に入りませんよ。…もう、社長じゃないんですから、何の力も持たない」

「…それでは何故?」

「…先ほども言いましたが、理子さんを、仕事のパートナーとして欲しい。御堂コーポレーションの社長秘書が有能なのは、以前から耳にしていました。しばらくプライベートがゴタゴタして、お休みしていたようですが、また、秘書に戻られた」

笑顔は消え、私に視線を移した創は、とても真剣な眼差しだった。
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