俺様社長と秘密の契約
「…入るぞ」

「・・・え」

ようやく近づいた私にそう言った御堂社長は、

一軒の家に入っていく。

・・・そこは、洋風な可愛らしい感じの普通の民家で。

ここがレストランなんだろうかと思ってしまう程だった。


中は5つほどのテーブルがあり、吹き抜けで、奥には冬には暖をとる暖炉があり、

とても落ち着く店内に、こんな店を知ってる御堂社長に、少し驚いた。


…間もなくして運ばれてきた料理は本格的で、

店と料理とのアンバランスさが、なんだか心地よく感じられた。


…食事中は、お互い無言で、でもそれが逆にホッとした。


食事が終わり、一息つく。

「…社長」

「・・・なんだ?」


「あの、ネックレス…ありがとうございました」

「…礼を言われる事じゃない。…後は理子のモノだ。好きにしろ」


「…大切に使わせていただきます」

「・・・・」

私の口から、そんな言葉が出てくるとは思わなかったのだろう。

御堂社長は驚きの眼差しで、私を見ている。

その顔はすぐに、困ったように少しだけ笑った・・・。

その顔に、今度は私が少し驚いてしまって、お互い、

何とも言えない気持ちになった。
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