俺様社長と秘密の契約
「おはよう、清水さん・・・

アンタのデスクを中に移動してた」


「・・・は?」

社長の言葉に、目が点になる。

…秘書の机を社長室の中に入れたってこと?

一体、何の意図があって、そんな事をしたの?


「ずっと思ってたんだよ、毎日何度となく開け閉めする

たった一枚のドアのせいで、仕事は遅れる…一分一秒がもったいない」


「・・・はぁ」


「それに、アンタが傍にいる方が何かと都合がいい」

「・・・」

…なんの都合?

思わず眉間にしわを寄せた私は、社長を睨む形になってしまった。

でもだって、社長秘書になった時から感じていた事だったけど、

御堂社長は何かと自分勝手で、いつも何をしだすかわかったもんじゃなかった。


…現に今も、訳の分からない事をしている。


先代の時からずっと、社長と秘書は別室にいる事が当たり前だったはず。

確かに一日に何度もドアを行き来する私は何かと面倒だとは思っていたけど、

社長にだって、プライベートは必要だし、秘書だって、四六時中社長に

見張られるのはごめんだ。


「ですが社長。

アポがないお客様が来られた時、社長と同じ部屋ですと、

お断りできなくなってしまいますし、四六時中私が近くにいますと、

社長の気が休まらないのではないでしょうか?」


・・・と、辺り障りのない言葉を放つ。
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