俺様社長と秘密の契約
「…あぁ、かなりの自由人だからな、一筋縄じゃいかない厄介な男だよ」

そう言って、龍吾は苦笑いした。

「…龍吾さん、ごめんなさい」
「ん?どうした、急に」

「私のワガママに付き合わせることになってしまって」

「何を言い出すかと思えば…
最初にも言っただろ?俺達はずっと前からの知り合いだと…理子は、神宮寺善一郎の孫だと知らなかったが、俺はずっと知ってた。話しが進むに連れて、こうなるんじゃないかと、どこかで思ってた。
…愛する者の役に立ちたいと思うのは、自然な事だよ、だから、これは、ワガママなんかじゃない」

その言葉にホッとして、心のモヤモヤが少し晴れた気がした。

…しばらく、神宮寺邸で、今後の事を話し合った私達は、神宮寺邸を後にした。

帰りの車の中、私は色々なことを考えていた。

「…理子」
「なんですか?」

「少し、会社に行ってくるから、俺の家で待っててくれるか?」
「龍吾さんの?」

「そう、俺の家で。…その間、何も考えず、少し休め。…疲れ切った顔してる」

「…」

「色んな事があり過ぎたからな、疲れるのも無理はない」

「…そうさせてもらいます」

龍吾の言葉に甘える事にした。
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