できちゃった結婚です!
「愁子!?」
「何よ~仕事辞めたら全く連絡よこさなくなって~」
「そんな事ないよ~元気?」
「今、あんたん家の近くにいるんだけど、どこ?」
「え?来てくれたの?」
「だって今日でしょう?入籍したの!お祝持ってきたの」
愁子は3月の人事異動で、わたしが働いていた百貨店に異動になった。
異動といっても隣の百貨店だし、通勤も今まで通りだから大分マシ~とか
言ってたっけ。でも場所が変わればシステムも変わるわけで。
百貨店のルールや研修も一から受けないといけない。
その大変さはわたしが一番分かってるつもりだ。
そんな中での愁子の訪問は素直に嬉しい。
「待ってて、すぐに向かうから」
「うん、待ってる」
本屋さんも、スーパーもとりあえず後回しにして急いで愁子の
所へ向かう。
とはいえ最近お腹が張りやすいからゆっくりのペースになってしまうのだけれど。
「ごめん、お待たせ!」
「杏、おめでとう!」
やっとマンションのエントランスに着くと、愁子がわたしに近付いて
抱きしめてくれた。
「ありがとう、愁子!」