大切なものはつくらないって言っていたくせに
龍一驚く
久しぶりに、祐樹から連絡がきて待ち合わせをする。
本当は、遥ちゃんのこととかどうしているかとても気になっていた。
予約したいつものお忍びの割烹料理屋で、祐樹は既に先に日本酒をかたむけていた。

「よう。」

相変わらず、無精髭に無造作な髪型。変装用の伊達眼鏡。
白いシャツにただのチノパン。
それなのに、いい男のフェロモンだけはまき散らして、只者でないオーラを出している。

俺は下戸だから烏龍茶を頼むが、その時も店員は、チラチラと祐樹の方を意識して見ている。

「どうしてた?」
「うん。」
「仕事、忙しいの?」
「まあまあかな。 執筆業は、自分で自分のスケジュールをたてられてそういう意味では最高だな。」
「ふうん。連載も2つ?」
「3つ」
「順調じゃね?」
「うん。もう顔出ししてないから、まあ、そんなに街に出ても誰も彼もに気が付かれなくなって気軽だよ。それが一番。」
「相変わらず、ホテル暮らしなんか?」
「……………いや。遥のアパートにいる。」
「えええええ!?」
「で、相談なんだけどさ。」
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