今度こそ、練愛

店内に入って、高杉さんにも御礼を言った。



「岩倉君、気にしてたみたい。やっぱり少し体調が良くなかったから眠り込んでしまったんだって」



花の仕分けをしながら高杉さんが教えてくれた。視線の先には窓拭きをしている岩倉君。気にしてたから、いつもより早めに出社したのかな。



「体調が良くなかったのに無理してたんですね、帰りの車の中でもずっと寝てましたから」

「気にしないでね、朝から元気そうだったから、お酒を飲んで体調崩したのかもしれないし」

「すみません」

「山中さんの車は乗り心地良かったでしょう? 先に送ってもらったの?」

「はい、私までうとうとしてしまいそうでした、私が先に送ってもらってから岩倉君だったので、大丈夫か気になってたんです」

「大丈夫よ、ちゃんと岩倉君出社してるし」



高杉さんが笑って言ってくれるから、気持ちが解れていく。さっき岩倉君も笑ってくれたし、大丈夫なはず。



もうひとつ気がかりなことは山中さんのこと。



「高杉さん、山中さんってご兄弟がいらっしゃるんですか?」

「居ないはずだよ、お母さんと二人だと聞いてるけど……、どうしたの?」

「いいえ、よく似た人を見かけたので、すみません」



諦めきれなくて尋ねてみたけれど、そろそろ諦めないといけないのかもしれない。

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